あとがき

---- 当たり前と言えば当たり前ですが、また年が明けて2020年となりました。
この年齢になるまで生き続けることができて、ギターの仕事からも離れることなく、
つまり大過なく過ごしてこれた事を思えば、実に感慨深いものがあります。

---- 「良きところを知らねば、悪きところをも良きところと思うなり」という言葉を、
最近よく思い出します。「能」の名著、「風姿花伝」の中の一文です。
自分の長所・短所を見つめなさいという教えですが、「短所を知れ」というなら当たり前ですが、
「長所を知れ」というのは、随分と逆説的です。

---- 「下手の横好き」という言葉がありますが、よほど破滅的な性格の持ち主でもない限り、
本当に何の取り柄もないものなら、音楽なりギターなりを続けることはありますまい。
誰に言われるまでもなく、本人自らが嫌になって投げ出してしまうはずです。
やるからには、まず自らの芸の良い部分を見ろ、さればこそ悪い部分が分かるということでしょうか。
何よりも、その教えの根底には、人間おいそれと自己否定など出来るものではないという、
深い人間洞察があるように思えます。

---- さてさて、特に自分の演奏会の録画など見れば、本当に嫌になるくらい、
欠点ばっか気になるものですが、それでも懲りずにまたやろうと思うのですから、
自分なりに気に入っている部分も感じているのでしょう。
それがただの自己満足かどうかが難しいところなのですが、
やっぱりそれも大事にせんといかんと、強く思う年頭でした。

ありがとうございました。次の更新は4月末予定です。
なお、この満月をクリックすればトップページに戻ります。

----- 梅本雅弘

(追記/自己紹介)
----1952年奈良県大和高田市生まれ(出生当時の我が村は天満村字奥田と呼ばれていた)
1972年から1975年までスペインのアリカンテでギターをホセ・トマス氏に師事。
当地のオスカー・エスプラ音楽院で和声学など楽理一般を学ぶ。
1974年アリカンテ国際ギターコンクールで優勝。ホセ・ラミレス氏製作のギターを贈られる。
特に師のトマス氏発案による8弦のギターを愛用して現在に至る。
最近は第2のプロフェショナル技能としての楽譜製作の仕事も少し受注しているが、
原点のギターに、迷わず奮闘中。