あとがき

----秋の心地よい日々が少なく、いきなり冬になりそうなこの頃ですが
今回掲載の私の写真は3年以上前の2014年 2月に撮影したものです。
場所は奥日光の或るドライブ・インです。

---- この写真を見るたびに、親しくしていただいたギター製作家の
故・松村氏を思い出します。氏はその前月末に病死されました。
訃報が届いた時、直ちに大阪府茨木市に出向いて葬儀に参列しようと思ったものの、
あいにく何ヶ月も前から宿を予約して計画していた奥日光のスキー旅行とぶつかりました。
楽しみにしていた家内の事を思えば、おいそれとキャンセルは出来ません。
悩んだ末ですが、遠い地より松村氏のご冥福を祈ることにしました。

---- 人からは冷たいと言われがちな私ですが、さすがにこの時は、
そのドライブ・インで昼食を終えた後に、涙がとめどもなく流れてきました。
人目を避けて外に出て号泣した後に、少し落ちついてから店に戻り、
何故か目が合ったワンちゃんにすり寄った瞬間に撮られたのがこの写真です。
珍しいと思ったのか、決して面白半分ではなく家内が撮ってくれた写真です。

---- 今回再掲載した私の独奏中、タレガのアデリータとバッハの前奏曲とフーガが、
松村氏に製作していただいた八弦ギターで演奏したものです。1994年製です。
私はもう一本、2010年製の松村六弦も所有しており、主に指導の際に使っています。

---- 楽器や弦の銘柄の好みとは面白いもので、明確な理由も動機もなく、
ある日突然、それまでとは異なるものに心が傾くことがあります。
今はハイ・パワーを最大の特徴とする2016年製カシミロ・ロサーノのダブルトップや、
1991年製サイモン・マーティの両八弦を専らとしていますが、またいつの日か、
繊細で透明感のある松村サウンドを最上のものと感じるようになるのかもしれません。
先のことはわかりません。いずれにしても松村氏がこの世に残した、このギター二本を、
これからも大事にしていくつもりです。

ありがとうございました。次の更新は来年1月末予定です。
なお、この満月をクリックすればトップページに戻ります。

----- 梅本雅弘

(追記/自己紹介)
----1952年奈良県大和高田市生まれ(出生当時の我が村は天満村字奥田と呼ばれていた)
1972年から1975年までスペインのアリカンテでギターをホセ・トマス氏に師事。
当地のオスカー・エスプラ音楽院で和声学など楽理一般を学ぶ。
1974年アリカンテ国際ギターコンクールで優勝。ホセ・ラミレス氏製作のギターを贈られる。
特に師のトマス氏発案による8弦のギターを愛用して現在に至る。
最近は第2のプロフェショナル技能としての楽譜製作の仕事も少し受注しているが、
原点のギターに、迷わず奮闘中。